04/08/2026
杉本博司「絶滅写真」
東京国立近代美術館
友人にお勧めされて見たかった杉本博司展。
映画一本分の時間を、一枚の写真に閉じ込める〈劇場〉。
何万もの映像を重ねた結果、スクリーンには何も残らず、ただ白い光だけが現れる。
太古の人間も見ていたであろう水平線を撮り続ける〈海景〉。
博物館のジオラマや蝋人形という「偽物」を撮ることで、逆に現実以上の存在感を与えてしまう写真。
どの作品にも共通していたのは、
「何を撮ったか」ではなく、
時間や記憶をどうやって一枚の中に存在させるか。
過去と現在。
本物と偽物。
生と死。
存在するものと、消えていくもの。
その境界が写真の中で静かに曖昧になっていく。
特に〈海景〉は、ほとんど何も写っていないのに、なぜか長く見てしまった。
人間が作ったものはいつか絶滅する。
写真という技術さえ、いつか絶滅するかもしれない。
それでも海と空の境界だけは、
人類がいなくなったあとにも残っているのかもしれない。
「絶滅写真」というタイトルが、見終わったあとに少し違って聞こえた。
杉本博司 絶滅写真
東京国立近代美術館
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